病院には、検査や入院治療など、病院でしかできない医療があります。一方で、重い後遺症や慢性疾患、進行した病気などにより、**「治療を続けること」と「その人らしい生活」**の間で迷いが生まれることも少なくありません。
たとえば、
重い後遺症を抱えながら生活している方
慢性的な症状で日常生活がつらい方
病気とともに最期の時間を迎えようとしている方
こうした状況では、入院や治療が必ずしも“安心”や“希望”として感じられないことがあります。
理由は人それぞれですが、たとえば
住み慣れた場所や家族(ペットも含め)と離れる不安
生活のリズムが大きく変わる負担
検査や治療が優先され、ご本人の気持ちが置き去りになったと感じること
その時々の説明の受け止め方によって、選択が難しくなること
などが挙げられます。
私たちは、命を軽んじるために在宅を選ぶのではないと考えています。
「どこで、どう過ごしたいか」「何を大切にしたいか」は、ご本人の価値観だけでなく、ご家族の暮らしや介護の現実、医療として守るべき安全も含めて、一緒に考える必要があります。
その答えを、対話を通して整理し、できる範囲で実現していく。
そのための医療として、私たちは訪問診療を選びました。
訪問診療では、治療や症状緩和に加えて、生活の中で生じる不安や困りごとを共有し、必要に応じて多職種とも連携しながら、続けられる形を整えていきます。
病状に合わせて薬を処方しますが、それだけでは外来診療を自宅でしているのと変わりません。主に以下の点に注力しています。
ご本人とご家族の思いを丁寧に伺い、選択肢を整理します
痛み・息苦しさ・不眠などのつらさを和らげる治療に力を入れます
必要時は入院先・専門医・訪問看護などと連携します
介護負担が限界にならないよう、サービス調整も一緒に考えます
カナミックネットワークというインターネット上のネットワークを利用して、本人や家族、ケアマネージャー、訪問看護ステーション、訪問調剤薬局などとつながり、情報の共有や治療方針の決定に役立てています。
医者が病気をどう見立ているか情報を共有するだけでなく、その現状ふまえて患者さんがどう考え、どういう治療を望んでいるのかを共有します。本人の考えに沿って治療が進むことが大切なのです。
患者さんの気持ちだけでなく、家族の気持ちも同じくらい大切だと考えています。対話をしながら、みんなが納得できる診療を目指しています。
このシンボルマークは「いつも心に太陽を!」というイメージで井上百合子@武蔵野美術大学さんに作ってもらいました。どんな辛い状況でも、こころに太陽を描き、生きて行けると信じています。
心の中の太陽とは、生きる意味なのではないかと思います。普段気がつかない生活の中に、生きる意味はたくさんあるものだと思います。ただ、当たり前すぎて気がつかないだけなのではないでしょうか? そんな話を患者さんとすることが自分たちの役割なのだと思います。
患者さんと家族と医療者で手を取り合って困難に立ち向かっていくというイメージでコグレ シゲル氏(院長の弟)に書いてもらいました。太陽に向かって歩くと、どうしても宗教画のようになってしまうので、いかに悲壮感なく、楽しげに描けるかがポイントなのだそうです。影を足したのは院長の案ですが、とても気に入っています。
